卵巣の腫瘤性病変の診断においては、従来から超音波経腹走査法によるパターン分類法が作成されており、良悪性の診断精度に関しては一定の水準を保っていたが、超音波断層法に加えカラードプラ法、および近年では3D超音波の併用によってその診断精度は格段に良くなった。
月経周期に伴う子宮内膜の組織学的変化は超音波所見の変化として認識することができ、卵巣における卵胞形成および排卵と引き続く黄体形成の診断とも相俟って、不妊症治療の分野では超音波診断は必須の検査となっている。通常、閉経後は子宮内膜は萎縮して非薄化するが、超音波による閉経後の子宮内膜肥厚像の確認は、子宮内膜癌診断の有力な情報となる。子宮内腔に発生する子宮内膜ポリープや粘膜下子宮筋腫の診断には子宮腔内に生理的食塩水を充満して行うsonohysterographyの有用性が高い。
本講演では、日常婦人科臨床で行われる超音波診断の実際について述べてみたい。
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